☆☆☆☆ アニメ「僕だけがいない街」

2017.07.04

タイムリープ+推理が新しい、マンガ原作で実写化もされた傑作サスペンス。

☆☆☆☆ 最高に面白い
ジャンル: タイムリープ

1. 正統派推理ものとして楽しめる
2. タイムリープの面白さもしっかりとある
3. 人物をしぐさや行動で描く巧みさ

こういう人にオススメ)
・タイムリープものが好きな方
・推理モノが好きな方
・悠木碧さんのファンの方

1. 正統派推理ものとして楽しめる

本作は殺人事件が起こる前に時をさかのぼって殺されるのを防ごうとする、いわゆるタイムリープものです。ただ、従来の作品と比べてリープ回数が少なく、推理へのウェイトが大きいのが本作の新しさです。

初期のタイムリープものは、過去に戻って繰り返すことで変化する事態を楽しむ部分が大きかったように思えます。有名どころでは「バタフライ・エフェクト」や「ラン・ローラ・ラン」なんかが正にそうですよね。「バタフライ・エフェクト」は過去に加えた小さなアクションが途方もなく大きな変化を引き起こしてしまうお話でしたし、「ラン・ローラ・ラン」も考えるよりは事態の変化を楽しむ作品でした。

近年だとそこに推理テイストを加えた「シュタインズ・ゲート」や「ゼロから始める異世界生活」なんかが登場しました。これらの作品では行動を少し変えたぐらいでは運命が変わらず、謎を解いてキーとなる変化を起こす必要があり、考えては行動してを繰り返すような展開になりました。タイムリープものらしい勢いは残して事態も動くので必然的にタイムリープ回数が多くなります。

一方の本作では主人公は過去に戻る能力をコントロールできませんので、タイムリープできる回数が非常に限られます。犯人が誰なのか知りませんし、持ってる情報も雑誌などに載っている公開情報のみです。出来る行動もごく限られていて、それが故にたくさん考えて犯人が誰か、どうやって守るか考える展開になります。 彼は誰が犯人なのか考え続けますが、これが非常によく出来た推理モノとして完成されています。恐らく注意深い視聴者は誰が犯人なのか気付くでしょう。

2. タイムリープの面白さもしっかりとある

タイムリープ作品の魅力の1つは、何が起こるか知っていながら防げなかった悔しさ、知っているからこそ決定的な場面に立ち会える臨場感です。本作でも殺される同級生を助けようともがく事になります。

どん底を味わったからこそ達成した時にカタルシスが得られるわけですが、タイムリープ作品はまったく同じキャラクターの同じ場面をひっくり返す事でそれを達成するので、この落差がより鮮やかに感じられますし、何度も挑戦して遂に目的を達する嬉しさは格別です。

3. 人物をしぐさや行動で描く巧みさ

本作の感情表現はすさまじいです。一番驚いたのは小学生編のメインヒロインである雛月の母が追いつめられたシーン。彼女は当初自分の非を認めない態度に出ますが、その後追い詰められると一転して自分の非を過剰に受け入れるような態度に転じます。これは精神的に弱いダメ人間が追いつめられた時に実際にやる態度で、僕も実際に見覚えがあるものですが知らずに描けるものではないです。作者は人間の心理と行動を知り尽くしているのでしょう。1場面1場面、キャラクターの心理と行動がビタビタにしっくり来ます。なんなんでしょうこの描写力。

キャストの芝居も素晴らしいです。小学生編のメインヒロインである雛月は、とある事情があってあまり感情を表に出しません。つまり芝居でつけられる起伏が小さいわけなんですが、演じる悠木碧さんは抑えた芝居に安らぎから絶望までの感情をしっかりとのせてきます。他のキャラクターもどんな性格でどんな気持ちなのか、ちゃんと伝わる芝居になっていて非常にレベルが高いです。

本作、とにかくすさまじいです。推理モノとしてもタイムリープものとしても、これほどの作品はなかなか登場しないでしょう。絶対観るべきです。強力にオススメします。

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