☆☆☆☆ Person of Interest

2018.01.07

スピーディーかつ濃密な犯罪捜査サスペンス。犯罪予知システムから知らされる重大犯罪当事者だけをたよりに、犯罪被害を防ぎ続けるふたりの男たちの物語。単なる捜査ものとしてだけでなく、高密度な人間関係の中で描かれるそれぞれの想いが美しい新時代の捜査ドラマです。

☆☆☆☆ 絶対に観るべき作品

1. スピード感がものすごい
2. 毎話ひとりの人生が描かれる
3.SFとしての面白さ

こういう人にオススメ)
・刑事もの、推理ものが好きな方
・米ドラマファン
・AIによる監視社会に興味がある方

1. スピード感がものすごい

予知システム「マシン」は重大犯罪に関わる人、つまり加害者または被害者になる人物の社会保障番号だけを知らせてきます。何故それだけしか知らされないかについてはちゃんと理由があって物語が進むに連れて描かれますが、これが物語に素晴らしいスピード感を与えつつ、スリリングさを失わないという最高の結果を生んでいます。

例えば一般的な刑事ものでは事件が起こってから被害者は誰なの?加害者は誰?動機は?殺した方法は?なんてやっていくわけで、これはこれですごく面白いわけですが、本作では誰がクリティカルな人物なのかは最初から分かってますし、マシンは事件が起こる前に知らせてきますから、対象者を見張っていれば対象者が殺されそうになったり、対象者が人を殺そうとしたりします。マシンの能力の都合なのか、結構直前に知らせてくるので対象者を見つけたらすぐにパンパカ撃ち合いがはじまったりしてじつにスピーディーです。

しかも事件が起こる前に動き出せるというのがまた素晴らしくて、事後に犯人逮捕する一般的な捜査ものと比べて後ろめたさがありません。大抵の場合、非常に爽快な気分で観終わる事ができます。そのおかげでついつい次の話数も続けて観てしまって寝不足必至なのが少々難点です。

2. 毎話ひとりの人生が描かれる

本作は基本的に1話完結で、毎回1つの事件を解決していきます。当然、事件の当事者は基本的にその1話にしか登場しません。一方、重大な事件というのはその人が加害者であるにせよ被害者であるにせよ人生でそう度々起こるものではありません。この2つの要素の必然として、毎話数対象者の人生が語られるという作りになっているんですが、この掘り下げ方がもう本当に抜群に上手いです。

捜査ものの作品の多くが被害者または加害者に感情移入する作りになっているのと同様、本作も観ている内に毎回の対象者に共感していくわけですが、まだ事件が起こる前の決定的場面であるというのが話の幅を増やし、視聴者に共感する時間とこの後どうなるか分からないスリリングさを提供していると思います。

人生のクリティカルなシーンに立ち会う形で毎回誰かの人生を描いていく作品として見るとマスターキートンにも似ているかもしれません。このタイプの作品は毎回かなりの練り込みが必要なので簡単には作れないと思いますが、その分、非常に密度高く仕上がりますから米国ドラマ業界のようにリソースの潤沢がやるとすごい事になるんだ、という事なんでしょう。

3.SFとしての面白さ 

本作で登場する予知システム「マシン」は単なる都合の良いギミックとして登場するだけではありません。ちゃんとそういうマシンが存在するとどうなるのか、というのが描かれていきます。当然ながらこれが影響絶大、なにしろ大量の情報を収集して未来を正確に予測するマシンですから、そんなものの存在を知れば悪用する人だって現れます。

それによって引き起こされる悲劇が物語全体にながれる1つの大きなストーリーとして丁寧に描かれていきます。つまり近未来SFとして楽しむことが出来ちゃいます。マシンを中心に人々が安全に幸せであるべきとして行動する主人公たち、マシンを使って悪人を殺していこうとする組織、マシンを悪用して私利私欲を満たそうとする人々が入り交じる展開はすさまじいです。

興味深いことに、敵対する立場になった人々が状況と立場が違うだけで同じ想いをもって行動していたり、悪人であるはずの人間と協力できる状況が生まれるなど、大きく状況が動くなかでの人間関係の変化も非常に面白くて、なんというかマジでヤバいです。全力でオススメしたい本作、仕事を休んででも観てください。きっと損はさせません。

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