☆☆ 硬派なSFアニメ「ゼーガペイン」

2017.07.02

☆☆ オススメ
ジャンル: 学園SF

非常に優れたロボットSFアニメ、ゼーガペインをご紹介します。

1. こう見えてゴリゴリのSFです
2. 人々の想い
3. 儚さの美しさ

こういう人にオススメ)

SFファンな方
複雑な話が好きな方
胡蝶の夢と聞くと盛り上がる方

1. こう見えてゴリゴリのSFです

オリジナルアニメ作品で、夕方の時間帯に地上波で放映されました。当初はロボットアニメであるという程度しか情報がなく、一風変わったデザインのロボットが登場する学園ロボットものかなと思っていたら、世界の置かれた状況が明らかになるにつれガッツリハードなSFだと判明します。中盤に登場するクリスとアークの運命と、それに抗う姿に完全に惹き込まれます。

男子高校生である主人公はある日、美少女に導かれてゼーガペインと呼ばれるロボットに乗り込んで戦います。ゼーガペインのここまでは正直普通ですよね。ところが本作の主人公たちは普通の人間ではない。彼らはとっくの昔に身体を失い、データ化された存在なのです。データでしかない自分は何なのか、果たして生きていると言えるのか?

彼はそれに対する答えを見出し、戦うことを選びます。ここまでが物語の半分。そして後半の戦いへと続いていきます。序盤展開が分かりにくく、ちょっと退屈する部分もありますが、中盤のクリスとアークの戦いからの展開はアニメには珍しいしっかりと作り込まれたSFになっていると思います。終盤には人間がデータ存在となる事で何が起こるのか、逆にデータは人間になり得るのか、などなどガッツリSFな話になっていって楽しいです。

2. 人々の想い

彼らはデータ存在ですが命がけで戦っています。大切なものを守るため、取り戻したいものを手に入れるために先の見えない戦いに望み続ける彼らの想いは美しいです。

本作に登場する人物はほぼ全てに大切に想う相手がいて、その相手の為に戦っています。データ存在である彼らは非常に長い間戦っているので、お互いの関係性もかなり複雑ですし、明示的には語られていない想いも含めてとても良いです。序盤から中盤で一番印象的なのは、過酷な運命にさらされるクリスとアークですが、それ以降登場人物たちが次々に垣間見せる想いの発露の意味が分かってくるようになります。

しかも主人公がとある事情で記憶を失っているせいで余計にややこしい事になっており、記憶を失う前の主人公との関係と、現在の主人公との関係が違っていることに対する戸惑いも細かい芝居で語られて素晴らしいです。

3. 儚さの美しさ

自分の日々の暮らしがデータの中の幻想でしかないという事実を、OP・EDが非常に美しく描いています。曲も映像も素晴らしいので、ニコ動でも好きなOP・EDのまとめなどで本作をよく見かけます。身体が多数の鳥に移り変わったり、鳥が集まって身体が現れる演出はとにかく美しいです。

参考: ニコニコ動画
http://www.nicovideo.jp/watch/sm27003075

本作はいまや大声優となった花澤香菜さんのメジャーデビュー作でもあります。いまと違い、儚く鈴の鳴るような声で話すヒロインは物語の雰囲気作りの中で重要な役割を果たしています。少したどたどしく聞こえる話し方が演出として機能していて、切ない気持ちになってきます。いまはもう聴くことのできない美しい響きを聞くためにも、花澤さんファンにもオススメしたい作品です。

画面づくりも美しくて、その美しさがより存在の儚さを際立たせます。構図が1つ1つキレイで、不思議に惹き込まれていきます。

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