青春ブタ野郎、ココロコネクトに見る新しい流れ
「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」と「ココロコネクト」に物語作りの新しい流れを感じたのでちょっとメモしておきます。
物語は最初の安定状態から何かしら事件があって成長したり変化するというのが基本的な流れなわけですが、大きな事件というのはあまり起こらないので作者はどういう事件を起こすかで頭を悩ませることになります。特に普通の高校生が主人公の青春物語だと大事件が起こらないまま人間関係や心の変化を起こさなきゃいけなくて苦労することになりますよね。従来の作品だと「となりの怪物くん」「彼氏彼女の事情」「オレの妹がこんなに可愛い訳がない」のように極端な性格のキャラクターに変化を起こしてもらうか、「神様はじめました」や「フルーツバスケット」のように主人公ごと新しい環境に放り込んでしまうというのがパターンだったと思います。
とはいえ物語のリアリティを考えるとキャラクター同士の遠慮があってどうしてもある程度以上踏み込むことはできないわけです。たまたま上手いことタイミングが合って秘密がバレるとか、トラブルメーカーが普通ならやらないようなことをやって変化を起こすわけですが、あまりやりすぎると嘘っぽくなってしまう。でも控えめにやってると話が進まない。
ところが「青春ブタ野郎」と「ココロコネクト」は超常的な現象を使ってこれをあっさり解決してしまってるわけです。どちらの話も超常的な現象の原因については完全に説明を放棄していて不思議を不思議のままにしているんですが、それを使って秘密を強制的に暴いてしまったり行動を起こさなきゃいけない理由を作るなどして、普通だと踏み込めないようなところまで踏み込んでしまうわけです。
一方でキャラクターの側に事件を起こすような突飛な性格付けをする必要がないし、不自然な偶然を入れる必要もないので、キャラクター1人1人の心の動きはすごく丁寧に描いていける。この手の物語はお互いの気持ちの動きが一番重要ですが、それをもっと繊細に描くことができるようになっているわけです。これがいかにパワフルなソリューションなのかは実際にこれらの2作品を見ると分かるでしょう。
今後もこうした超常現象をうまく利用する作品が増えていくんじゃないでしょうか。
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