☆☆☆ アニメ「メイドインアビス」

2018.02.24

謎の深淵「アビス」を舞台とした冒険劇、かわいらしいキャラクターに明るい活劇を期待するとあまりの過酷さに驚きますが、一度踏み入れたら絶対に戻れないと分かっている秘境に自ら挑む人々の姿には善悪を越えた凄まじさに魅了されます。

☆☆☆ すごく面白い
1. 未知なる危険に挑む冒険
2. 作り込まれた世界観
3. 異常に個性的なキャラクターたち

こういう人にオススメ)
・ファンタシー世界が好きな方
・冒険活劇好きな方
・まどか☆マギカが好きな方

1. 未知なる危険に挑む冒険

本作は伝説的冒険家の娘であるヒロインとロボット少年レグが謎の深淵「アビス」の最深部を目指す冒険物語です。舞台となる世界はファンタジー的などこか見知らぬ場所であり、アビスには僕らのよく知らない怪物が登場し、深くもぐるほど強くなる呪いにより最深部では身体の形さえ保てなくなる恐ろしい魔窟です。

ほんの600年前、中世の頃は世界の殆どが未知なる領域で、分かっているごく狭い領域だけが地図に載っていました。当時は外海に出たり遠方の大陸に行くとおそろしい怪物がいたり、考えも及ばない気候や地形が待ち構えていると本気で考えていたようですから、遠洋航海で冒険して回る人々を丘の人間は正気だとは思えなかったでしょう。ところが現代においては世界のあらゆる場所が写真や動画で見られます。地球上に本当の未知なるおそろしい領域などないと僕らは知っています。そうなると冒険の意味も変わってしまい、ちょっとしんどくて辛い行程という程度のものでしかなくなってしまいます。

ところがこの世界はそうではありません。アビスに潜ることは本当に命がけの挑戦であり、どれほど備えていても常に死ぬ危険がある世界です。僕らの世界では失われてしまった真の冒険劇がそこにはあります。それにより、そこに果敢に挑むヒロインたちの異常さもまた際立ちます。深淵に挑む伝説的冒険家たちはアビスから得た不可思議なアイテムを使って人の領域を越えた存在にまでなっており、異常そのものでもあります。それでも挑み続ける彼らには魔的なまでの魅力があります。

2. 作り込まれた世界観

僕はじつはこの作品、ゲーム原作の舞台を使って上手にストーリーを後付したものだと思っていました。アビスの多様な生き物や次々に出てくるアイテム、階層を進むとまるで変わってしまう地形など、あまりに世界観が作り込まれ過ぎているので、まさかマンガ原作のアニメ化作品とは思いませんでした。ゲームであれば多数のスタッフが多彩なアイデアを詰め込んで長期間かけて作りますから、そのスピンオフ作品ならこの奥深い作り込みも納得できるのですが、よもやこれが少人数で(おそらく1人で)考えだしたものだとは!

未知なる世界であると視聴者に感じさせる為には既存世界とはまったく異質に舞台や小道具を作り込まなければならない一方で、ディティールが雑になってしまってはリアリティが失われます。そういう意味で、僕らの知ってるものとは少しずつ違えてきっちり異質に仕上げている本作は異常で、それだけでも観る価値があると思います。

3. 異常に個性的なキャラクターたち

無鉄砲な少女リコ、優しいロボットのレグ、無表情でおそろしく見えるオーゼン、ケモノっ子ナナチなどキャラクター凄まじく多彩です。これホントにひとりの人間が考えて作っている話なんでしょうか。

中でも魅力的なのがオーゼンとナナチ。リコの母の師匠でもありリコの出生の秘密を知るオーゼンは深遠に挑む探検家「白笛」でもあり、序盤の少し気楽なパートから本当に危険な地域に足を踏み入れるパートの間に入って、リコが何故深遠に挑むのか、挑まねばならないのかを教える存在です。一見恐ろしげな彼女ですが死地へ挑まんとするリコの為に本当に必要な心構えをくれますし、リコの母であるライザと一緒にいるオーゼンを見ていると本当に優しい女性なのだと分かります。一見すると冷たく、じつは優しいというのはある意味ツンデレですよね。本作の最萌キャラだと言えるでしょう。

オーゼンと最萌を競うナナチはアビス深部の過酷さを体現した存在だと言えます。何故アビスの深い階層に住んでいるのか明らかにされるにつれて、僕らはアビスの本当の過酷さを知ることになります。飄々として見えるナナチが上げる悲痛な叫びに、気付くと涙が流れていることでしょう。プニプニしたどこかエロティックなナナチの外見に惹かれてしまい、ケモナーになってしまった視聴者も大勢いることでしょう。

1クール目は冒険の途中で終わってしまいましたが2クール目の制作も既に決まっている本作。いまの内に観て予習しておきましょう。

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