☆☆☆ アリスと蔵六

2020.03.12

不思議能力をもつ少女アリスとツンデレダンディー蔵六の物語。 かわいい絵柄とは似つかわしくない過酷なストーリー、くせのないキャラの性格付けが魅力的なアニメ「アリスと蔵六」をご紹介します。

ジャンル: ちょっぴり不思議
おススメ度合: ☆☆☆ (全力でおススメ)

1. ただの受容の物語ではない

本作は特別な能力をもった孤独な少女サナを、蔵六が受け入れて家族になるという受容の物語です。 物理的にも精神的にも居場所のない人物を受け入れて健やかな日々をおくれるようにする話というのは共感を得やすい作りなので、似たようなパターンの話はたくさんあって、夏目友人帳、彼氏彼女の事情、妖狐×僕SSなどなどたくさん制作されてきました。

ただし、本作では従来のそうした作品の受容されるまでの物語は5話までで早々に終えてしまい、後半は逆にサナが別の子を受け入れる話がはじまるのがすごいところです。元々サナは長距離のテレポートが出来たり、何もない空間に物を作り出したり出来る能力がある為に研究所から追われているわけですが、この能力はサナ以外にも現れることがあって、後半では能力のせいで苦しんでいる同世代の女の子をサナが助ける展開になっていきます。

受容前のサナと周囲の関係が、後半になって受容後の関係へと変化するだけでなく、受容される側だったサナが受容する側に変化するというのはすごく面白い構造の変化で、それに伴い行動や態度が大きく変わるのがキャラの魅力を更に深めていてこれがもうとても良いです。

2. キャラが最高に良い

本作の最大の魅力はキャラクターだと思います。

メインヒロインのサナは当初はありがちな高飛車キャラかと思ったんですが、じつは全然違っていてものすごく素直なキャラです。基本的に悪意がまったくなくて、蔵六の家族にならないかと言われるとトイレでひとりで大はしゃぎするし、蔵六の仕事の手伝いを頑張ったりと、尋常でなく朗らか、性格良いにも程があるだろうというキャラ付けになっていて見ていてめちゃめちゃ楽しいです。もうこれだけで観る価値があるんじゃないかってぐらいカワイイ。一時期ツンデレが流行ったので変な性格のヒロインが多かったですが、やはり素直な性格のキャラは良いですね。

蔵六の方もすごく良いキャラしてます。老齢の男性である蔵六ですが「オレは曲がったことが大嫌いなんだよ」が口癖のダンディなキャラなので、期待通りぶっきらぼうだけど優しいというテンプレートな人物ではあるんですが、中華料理店で目の前にサナが現れたらさりげなく吸ってたタバコの火を消したり、サナが常識外れなことをする度に1つ1つ「机の上に立つんじゃない、店で大声を出すな」とちゃんとたしなめるなど、細かいディティールによって単なるテンプレキャラではないのが伝わるように描かれていてとても魅力的です。

周囲のキャラも良くて、やたらとバブみのある蔵六の孫娘や、魔法少女コスに身を包む変に凛々しい政府の女性エージェント、声が大塚芳忠さんな政府の役人などなど絶妙に良いキャラ付けの人々が最高です。敵役のキャラもすごく良くて、亡き夫の腕だけ出して戦うというヤバさ全開なミニーシーの病んだ感じはじつに良いです。能登麻美子さんの声で「あの人ともう1度会う為なら私はなんでもしますよ」というシーンはゾクゾクしちゃいます。

キャラの良さだけでも観る価値があると思うぐらいどのキャラも素晴らしいです。

3. OPとEDも最高

そんなキャラの明るさによって「特別な力をもってるせいで研究所に閉じ込められた少女たちが実験に使われている」というかなり重めの設定にも関わらず、やたらと作品の雰囲気が明るいんですが、そんな明るさを反映してかオープニング、エンディングのテーマ曲も幸せ感いっぱいになってます。この2曲のおかげで本編でかなり重めの話をやっていても視聴後の気分がすごく良くなっています。単独で聞いても良い曲ですが、視聴後に聴くと更によく感じるんですよね。是非視聴してみてほしいです。

OP曲 ワンダードライブ

というわけで、アリスと蔵六はめちゃめちゃおススメです。
是非観ましょう。

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